子供内股歩行の原因考察と介入について

■内股歩行とは

内股歩行とは、歩くまたは進行方向の直線に対して常に足軸が内側に向いている状態を言う。大腿骨、下腿骨、距骨頚部は生下時の状態から、成長とともにその捻れが変化しながら大人の状態になる。通常では成長とともに大腿骨の前捻の角度が減じ、下腿骨は外旋し、距骨頚体角は内転の角度が減じていく。

これが幼少時からの粗大運動の成長過程における子供の行動や就寝位の体勢、座位の習慣、遊びの肢位によりそれぞれの骨格系の成長捻れの推移に影響を与え、最終的に歩行時の足部の向きとして表現されるもの。また、ゲームや勉強の長時間化により機能神経の発達に影響を与え、結果として姿勢制御が上手く機能されていないことも考えられる。

内股歩行の発生機序チャート



■粗大運動のエラー(ショートカット)
粗大運動とは、赤ちゃんの成長段階においての毎日の生活に必要な、土台となる体の動きでハイハイ、体を起こす、立つ、座る、姿勢を保つ、歩く、走るといった動作ことを言います。

脳から伝わる運動神経は、頭から始まって脚に向けて、上から下へという伝わり方をします。赤ちゃんが動かせるようになる順番も、頭→くび→腕→背中→腰→脚という順序です。この流れにそって、できる粗大運動も発達していきます。その結果、感覚統合がなされていくのです。この流れの中で、エラーとは例えば、ハイハイをしないで立ってしまうことは腕をあまり使わずに次のステップに進んでいるようなものなので、感覚統合が上手くいかない場合があるのです。

* 感覚統合とは
人間の感覚には、五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)に加えて、固有受容覚(筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、前庭覚(身体のバランス・平衡感覚動・スピードなど感じる感覚)といった合計7つの感覚があります。
次々と身体に入ってこようとするこの7つの感覚を整理したり分類したりするのが感覚統合です。

次回は、この感覚統合の中にある『固有受容覚』について解説いたします。


文責:木津直昭